専門翻訳のプロが教える危険な契約書翻訳の見分け方!?
- いわゆる翻訳家に契約書翻訳は可能か!?
- 間違いだらけの翻訳原稿はどのように翻訳すべきか!?
その契約書、本当に使用できますか?
本記事はいわゆる翻訳家の契約書翻訳(和訳・英訳)を完全否定するものではない。しかし、いわゆる翻訳家の翻訳は、英訳なら日本語が国内の裁判に耐えうる内容であること、和訳なら英文原稿が法的に正確に解釈できる内容であることを前提として作業を進めることは念頭に入れるべきだ。経験的に翻訳依頼原稿の50%は法律の素人の作成したものであり、このような翻訳原稿の正確な法的解釈は不可能なのが現実であることを理解されておくことは、お客さまにとって有益と判断する。
最近、世界中で使用できるレベルの契約書翻訳を提案する東南アジアの会社があるが、契約書はひとつの国の法律に基づいて作成する書類である。英文契約書でもオーストラリアの法律に準拠した契約書とカナダの法律に準拠した契約書の内容が同じであることはありえない。
「よし、ここに決めた」 …でもその契約書はどこの国で使用されますか?
危ない契約書翻訳には「いくつかの共通項」がある
もし、お客さまの発注予定の会社で、下記で「どれか1つ」が当てはまったら発注前に「本当に契約の知識のある会社かどうか」再確認されることを勧める。
- 和文契約書の英訳で、高品質なので「どこの国の法律で解釈しても正確に解釈可能」であり、世界中で使用できると主張する。(注)英語圏で使用する英文契約書と和文契約書の英訳版は別物である。
- 英文契約書の和訳で異なる解釈が可能な箇所(本来あってはならないことであるが…)を翻訳者の解釈可能な意味に翻訳する。又、日本法に合った内容にリライトして納品して、読みやすさを主張する。
- 和文契約書の定義抜け等に気が付かないで「そのまま英訳」する。不明瞭な箇所を「そのまま英訳」する。(注)不完全な日本語を英訳しても絶対に完璧な英文にはならない。
- 日本語版と英訳版の両方をオリジナルにできると主張する。(注)何カ国語に翻訳してもオリジナルは1つとすべきである。又、準拠法も合意管轄の記載もない契約書は要注意である。
- 和文契約書の英訳内容で英語圏の裁判にも適応できると主張する。(注)日本語版をオリジナル(準拠法は日本の法律)とするならば、英訳版は日本語オリジナルの内容理解の目的でのみ提供すべきものである。
契約翻訳には契約当事者の国の法律知識が必要
そもそも、日本の法律に準拠して書かれた契約内容をそのまま英訳しても、英語圏のどこの国であっても使用不可である。又、日本語版をオリジナルにするのであれば、日本語の内容が日本の裁判に耐えうる内容でなければならない。確かに日本の労働賃金の高さを考えると第3国のスタッフを有効に活用することは、インターネットによるコストダウンの重要な手法かもしれないが、そのことと契約当事者の国の法律に無知なものが翻訳することは別の問題と考えるべきでないか。
日本語原稿の校正について−日本語リライターに御用心−
最近、非常になめらかな日本語で好評な某社の和訳を読む機会があった。日本語の契約書そのもので、翻訳したものとは到底思えなかった。しかしながら、何故か英語版とは記載事実が異なっていた。これは日本語版の「使用目的」にもよるが、「英文の記載事実」を正確に把握する目的であれば問題となる。
平成18年7月1日
小笠原壽男
株式会社ドルフィンでは日本語オリジナルの英訳版の作成では、英訳と同時に日本語も日本人裁判官が内容を誤解なく理解できる程度まで修正しています。又、和訳では英文契約書の問題点をコメントして納品します。
これらの作業はすべて単価(定価)に含まれています。