ニュースレター「自己剽窃・類似性削減について」を掲載しました。

自己剽窃対策について

お世話になっております。
論文のジャーナル投稿、及び査読における「自己剽窃とリライト」について考察していきたいと思います。

すでに学会発表されている論文の内容と、これから発表する論文の内容が類似していてはならない事は研究者であれば周知の事実です。又、第一線の研究者であれば、意図的に模倣するなどありえないと思われます。

研究者が長年、同じ研究に取り組むことは珍しくありません。新規の発見も同じ研究の延長上にあるからです。同じ研究者の同じ研究の延長となれば論文で使用される英語の表現に類似性が出てくるのは自然です。これは内容の類似性ではなく英語表現の類似性です。

ご自身の過去の執筆論文と、新規の論文で酷似した英語の言い回しが散見されることがあります。この様な場合、英語表現の類似性が 「iThenticate 、eTBLASTなどの剽窃チェックツール」に、論文そのものの類似性と判断されてしまうことがあります。

そこで、ここでは「自己剽窃の定義」を再確認するとともに「何故自己剽窃が問題か」「どの様に判断するのか」「一体誰が判断するのか」「回避の方法はあるのか」を順に解説していきたいと思います。

自己剽窃の定義
自分の過去の投稿論文の内容、あるいは図表を使用、あるいは変更したものを、原典の引用なしに、使用する行為、研究公正さ、研究倫理に違反する「盗用行為」に相当するもの。

A.何故自己剽窃が問題か
(1)著作権は出版社にあるので版権侵害となる。
(2)同じ出版社の追加発表でも重複出版となる。

B.どの様に判断するのか
(1)過去論文の発表内容の類似性を確認する。
(2)過去論文の英語表現の類似性を確認する。

C.一体誰が判断するのか
(1)剽窃チェックツール(AI)で審査を行う。
(2)重要な発表内容は査読者が再審査を行う。

D.回避の方法はあるのか
(1) 引用元の論文情報(タイトル等)を明記する。
(2) カバーレターに「追加発表」と記載する。
(3) 過去論文からの引用箇所に引用符をつける。
(4) 内容の類似性がないなら英語表現を変更。

上記は研究者であれば普段から注意されている事と思います。しかし、実際は「経験するまでは予想できない問題」が発生してから、当惑する研究者も少なくありません。重要なのは「どの様に判断するのか」「一体誰が判断するのか」そして「回避の方法はあるのか」という3点になります。

どの様に判断するのか

もちろん、研究内容に類似性があれば剽窃となります。しかし、英語表現の類似性についてはどうでしょうか。
小説であれば言語表現は重要であり他の作家の「芸術的な情景描写の表現」等の勝手な使用は許されるものではありません。たとえ、異なる分野の小説であったとしても「描写」が同じであれば、もはや盗用であり、剽窃のレベルも超えています。こちらは悪意なしには起きえないのですが頻繁に見受けられます。

科学論文ではどうでしょうか。科学論文にとって重要なのは言うまでもなく研究内容(発見、発明)であり、その内容を説明する英語表現ではないことは研究者なら同意できると思います。では、何故、不合理な判断が起きるのでしょうか

一体誰が判断するのか

剽窃のチェックは原則AIが行います。問題はこのAIの判断基準が人間の査読者のように柔軟でないことにあります。他者の論文との類似性のチェックならなんとかなる場合もあるのですが、同じ研究者の同じ研究の延長上の新発見等の論文では「うまく判断ができない」こともある様です。

回避の方法はあるのか

日本人の英語の表現力は欧米人のように豊富ではないのが普通です。同じ専門分野の研究の延長線上での新発見を、同じ研究者が執筆すれば、似た様な表現は避けられない場合もあるのが現実です。

英文校閲をおこなっても、著者の言い回しの癖とか論旨の展開方法はあまり変わりません。又、日本人研究者は、留学経験のある研究者等を除き、「英借文を基本とする日本の英語教育の影響」を受けてきている場合が少なくありません。ここでは「特殊リライト」が必要になります。専門分野の知識のある米(英)国人の校閲者の支援なしには「どうにもならない」という実情です。すでにご理解頂けたと思いますが「表現の類似性だけ」で、剽窃チェックツール(AI審査)に引っかかる可能性も否定できない状況です。

こちらは決してあってはならないことですが、もし、悪意の第3者が、他人の論文の内容を盗用して、英語表現とデータを変えて投稿したらどうなるでしょうか。弊社は、剽窃チェッカーの開発会社ではないので、テストはおこなっていませんが、理論的には「2023年現在の剽窃チェックツール」に引っかからないケースがあると推測できます。おそらく、今後のAIの発展で解決できる問題ではありますが、「2023年現在の剽窃チェックツール」の欠陥については知っておくべきと思われます。弊社の特殊リライトは「盗用加工」の幇助を目的としたものではありません。このような違反行為については、AIの進化により「盗用加工」があったことが、後日、表面化したとしても、学位取消し、失職もあり得なくない「危険行為」であることを明記しておきます。

弊社のリライト(標準リライト、特殊リライト)は「サービス名称」であり、大学等で校閲会社への依頼を禁止しているリライト(研究内容の改ざんを伴う)には相当しません。もし「補足必要」と確信した場合は「その旨」のコメントを付記しますが、弊社で記載事実の変更は行いません。現在、事務上の誤解を防ぐために「請求書類」には標準リライトは「英文校閲 Level3」、特殊リライトは「英文校閲 Level4」とのみ記載しています。

これまで、過去の研究の延長上の新発見を、同じ専門用語で、同じ表現方法で執筆して別のジャーナルに投稿して「剽窃の指摘」を受けてしまった事例があります。学会誌の方から表現方法を変える様に指示があり、内容を変えないで「AIのチェック」を意識して特殊なリライトをおこなって、再提出して問題なく採択されています。こちらは、「正しい対応」と言えます。

ジャーナルの出版社が「AIのチェック」に過度に依存しないで、人間の査読者が剽窃チェックしていれば、このような懸念は不要であったと思います。

現時点における問題の解決方法のひとつとして特殊リライトのご検討をお奨めします。又、特殊リライト標準リライト併用できますので、ご懸念の箇所のみの割増(¥500/100words)料金にてご対応が可能です。

特殊リライトをご希望のお客様は見積依頼フォームでリライトを選択して[弊社へのメッセージ(50文字以内)]の欄に 特殊リライト(全文)あるいは特殊リライト(指定箇所のみ)のどちらかをご記入しておいてください。

株式会社 ドルフィン 代表取締役 小笠原壽男