AI翻訳とポストエデイッテイングについて|Dolphin

AI翻訳とPost-Editingについて

2023年、AIの発達は目覚ましいものがあるものの「過剰な期待は禁物」と言えます。実際、すでに一般文書であればAI翻訳でも、レベルの低い翻訳家の能力を凌駕しているかも知れません。もちろん、プロの翻訳家の視点なら、改善すべき点は多々あります。どの様な差があるかは、弊社サンプルAI翻訳(英文添削)をご覧ください。一般文書の日英翻訳に関しては「英文添削(日本語内容に合わせて改善する作業)を行わない」でも「英文校正(日本語を全く参照しない作業) 」であっても、ある程度のレベルが期待できます。
しかしながら、研究論文においては、文構造が複雑な長文もあり、ジャーナルに受理されるレベルまで仕上げることは困難です。又、契約書の日英翻訳に関しては、失敗されるケースの多くが「日本語オリジナルに起因している」こともあり、AI翻訳がある程度まで機能しているにもかかわらず、英訳文に問題が残ることがあります。特に「日本語契約書の参考資料」とする目的の日英翻訳で、AI翻訳を使用して、あくまで「契約締結は日本語の契約書だから」と楽観視して失敗するケースが少なくありません。そのようなケースであればなおさら「日本語内容」の事前の検討が必要になると思われます。

最近、論文のジャーナル投稿の準備をされている数多くの研究者の皆様が、未熟な「ポストエデイター」、大手校閲会社の「超低価格-AI専用校閲サービス」で失敗されて、弊社に「再校閲をご希望される案件」が多発しています。未熟な「ポストエデイター」や、格安な「AI専用校閲サービス」にご注意ください。

下記は「格安サービスの宣伝文句」の典型例です。

ChatGPTなどAIツールを使って日英翻訳された論文をチェックし、査読で「英語でNOとは言わせない」仕上がりを保証します。お客様のご要望に合わせて論理構成にも踏み込んで改善します。AIのエラーを完全修正し、読みやすい英語へブラッシュアップします。

実際に4段階の英文校閲を提供している大手英文校正会社(海外・数社)の下記(1)~(3)の各レベルの校閲で、査読で「英語がひどく読むのに耐えられない」とリジェクトされたお客様が多発しています。(4)に関しては、これまで試された研究者を知らないのでなんとも言えません。このような会社も「おそらく技術力がないわけではない様」ですので、もしかすると(4)であれば対応できるかも知れません。

(1)AI翻訳専用校正
(2)英文校正(copy editing)
(3)英文校正(substantive editing)
(4)トップジャーナル向けの英文校閲

何故、このようなことが多発しているのか検証してみました。

(a)2023年現在のAIの進歩を過大評価している。

AIの英文は独特です。おそらく多くの研究者の皆様は、AI翻訳後に「ある程度は手直し」をおこなってから、ご依頼をされていると思います。これは、正しい判断です。問題は「正しく論理的に通じるAI英語」と「英語ネイティブの研究者の論理で書かれた英語」は異なる事です。前者の場合、インパクトファクターの低いジャーナルも含めて、ほとんどの査読のあるジャーナルから「英語の問題でリジェクト」されてしまうのが現実です。

(b)2023年のAI翻訳をうまく利用するコツについて、

現在のAIは原則「逐語訳」をおこないます。したがって、翻訳原稿を工夫することで、相当程度まで誤訳を防げます。また、最近のAIは「それなりに論理的なAI英語」に仕上げます。問題は「AIの英語」を「英語ネイティブの研究者の英語」に変換(リライト)する必要があります。トップジャーナル向けの英文校閲(リライト)は決して低価格とは言えませんが、翻訳価格と比べれば「1/4程度」です。安価なAI専用校正の利用される場合は、短い内容でテスト依頼をお勧めします。2023年現在、ほぼ100%の確率で、このような格安サービスでご期待に添えることはないと断言できます。

2023年現在、弊社ではトップジャーナル向け英文校正(リライト)をお奨めしています。もちろん、「AIの進歩は想像以上」のものがありますので、近い、将来、英文校正エキスパートでも全く問題なくなる可能性はあります。予算の関係で、やむなく英文校正エキスパートで発注される場合は「英語の論理で執筆されているご依頼原稿である必要」があります。そのためには、AI翻訳前の「日本語原稿を英語の論理で書くという工夫」が必要と思われます。

AI翻訳|校正において留意すべき3項目について、

1つ目は日本語なしでも理解可能かどうか、

AI翻訳の校閲には英文添削と英文校正、リライトの3つが検討できます。英文添削の場合は英文の意味が通じていなくても、日本語内容が明瞭であれば日本語に合わせて修正できますので問題にはなりません。詳細はサンプル英文添削(日本語内容に合わせる作業)をご覧頂ければ幸いです。
しかしながら、日本語を参照しない英文校正、リライトになると話は変わってきます。お客様が機械翻訳で完成した英文を、評判の良い校正会社にご依頼されても「期待どおりに仕上がらなかったケース」のほとんどがこちらとなります。お客様が「日本語を参照しない校閲」をご利用して「低価格で仕上げるご要望」があるのであれば、ご依頼前にご自身でAI翻訳・校正を利用されて仕上げられた文書を熟読して、言いたいことが記載されているかどうか再確認の上で「AI翻訳・校正の手直し」をご依頼頂ければ安全です。

2つ目は主語と目的語は記載されているか、

研究論文等で事象が主語の場合は、あまり問題は発生しないのですが、2023年現在の機械翻訳の英訳ではIとYou、WeとYouが反対になる誤訳が発生することがあります。弊社英文添削(日本語内容に合わせる作業)以外の、日本語を全く参照しないで「英文のみを校正する作業」では、致命的な欠陥となり、校正担当者を混乱させます。

3つ目は専門用語、部署名は間違いないか、

専門用語の選択が何故、重要なのかと言えば、同じ意味の英訳であっても「必ずしも正解がひとつとは限らない」からです。AIを使用して機械的に英訳した文書であれば「ご自身の普段から使用している言葉」になっているかどうか事前の確認をお勧めします。もし、違和感があれば弊社へ校正のご依頼をされる前に修正されておくことを強くお勧めします。これは校正後の修正は効率が良くない為です。

上記のほかにも注意点は多くありますが……全部を記載するとあまりに長くなるので割愛させて頂きます。尚、弊社では、どのようなAI翻訳|校正が、お客様にとって最も適しているかのご相談を翻訳コーディネーターが無料でお受けしています。

これまで、大手のAI翻訳やAI校正をご利用されて「期待を裏切られたと判断されているお客様」におかれましては、上記の3点について、ご再考されることをお勧めします。尚、日本語は書けるが英文は書けないし、自動翻訳後の英文のチェックもできない様な場合は、日本語を参照しない「英文のみを校正する作業」ではなくて弊社英文添削(日本語内容に合わせる作業)のご利用をお勧めします。「英文のみを校正する作業」と比べると費用はかかりますが、翻訳価格よりは安く設定してあります。その場合であっても固有名詞を点検して、必要があれば事前の入れ替えをお願いします。特に、普段使用されている専門用語、所属部署名、人名の確認と修正をお願いします。AIはインターネット上で公開されている情報を収集しているので「ある程度までは対応可能」ではありますが、誤情報を拾ってしまうこともあります。

株式会社ドルフィン 代表取締役 小笠原壽男