契約書英訳・和訳で失敗しない実務ポイント
作成日2010年4月8日
公開日2023年8月1日
改訂日2026年5月29日
契約書翻訳を成功に導く3つの視点
本ガイドは、専門家・実務者向けに内容を体系化した資料です。研究者・企業担当者が判断に利用できるよう、再現性のある基準と実務的な視点で整理しています。
- 契約書の英訳と、英語で最初から作成された英文契約書は、構造も法的背景も異なる文書です。海外取引では英語版契約書が求められることが多く、日本語契約書を英訳して使用するケースが一般的ですが、両者の違いを理解しておくことは、契約リスクを避けるうえで極めて重要です。
- 国内利用の日本語契約書は日本法準拠が原則であり、その英訳版も原本に従い日本法準拠となります。海外で利用する英文契約書を和訳する場合は、海外法準拠の日本語契約書となります。また、日本法準拠の日本語契約書を海外法準拠の英文契約書にする際には、相手国の法制度に合わせるため多くの条項追加が必要になります。海外法準拠の契約書では、契約文面に記載のない約束事項は合意として扱わない旨が明記されているのが一般的であり、その点が英文契約書の構成にも反映されています。
契約書翻訳で押さえるべき3つの重要ポイント
(a) 準拠法の設定
契約書をどの国の法律で解釈するかは、契約の根幹を左右します。弊社では、相手国からの要望がない限り、日本法を準拠法とすることを推奨しています。また、契約書に「抵触法の原則の適用排除」を明記することで、日本法の適用をより確実にできます。
ウィーン条約(国際物品売買契約)については、双方の法制度理解が難しい場合に妥協案として利用されることがありますが、最終判断はご依頼者に委ねています。
- ウィーン条約除外:本契約には国際物品販売契約に関する国連条約を適用しない。
- 抵触法の排除:本契約は日本法に準拠する。ただし、他国法の適用を導く抵触法の原則は除外する。
(b) 合意管轄の明確化
裁判・仲裁をどこで行うかは、契約交渉の最重要ポイントです。日本国内を管轄とすることで、言語・手続の面でお客様に有利な条件を確保できます。海外管轄の選択も可能ですが、慎重な判断が必要です。
(c) 契約書の言語選択
英語版と日本語版の「両方を正本」とすることは、法律用語の解釈に差異が生じる可能性が高いため推奨されません。日本語版を正本とする国際契約が可能な場合は、お客様のリスクが大幅に軽減できます。
契約書翻訳に関するご相談は無料で承っております。国際契約で不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。
☞ eメール: trust@dolphin-tr.com
契約書の日英翻訳で注意すべき2つのポイント
1. 言語の異なる正本を作らない
正確な翻訳でも、日本語版と英訳版では法律用語の解釈に差異が生じる可能性があります。
2. 戦略的なレビューを求めない
弊社の翻訳・校閲サービスは、弁護士事務所の「戦略的レビュー」とは性質が異なります。
| 項目 | 校閲 | 戦略的レビュー |
|---|---|---|
| 視点 | 定型文の利用や、文書形式を整える。 | 戦術の相談や内容変更を提案する。 |
| 目的 | 誤解釈や形式的エラーを回避する。 | 契約条項の追加や、変更を提案する。 |
| 判断基準 | 法律専門家が理解できるかチェック。 | 契約者の利益と戦略的優位性の確保。 |
| 担当者 | 弁護士、行政書士等の校閲担当者。 | 弁護士法人、弁護士事務所のみ受付。 |
AI利用の低価格契約書翻訳の7つの問題点
| 問題点 | 内容 |
|---|---|
| 契約文の理解不足 | AIは契約書特有の「義務」「権利」「免責」などの文脈を誤解しやすい。 |
| 用語一貫性の欠如 | 同一契約内で key terms が揺れる(assign → 譲渡/移転/割当など)。 |
| 機密保持の脆弱性 | クラウド型AIに契約書をアップロードすることで情報漏洩リスクが増加。 |
| 定型表現の誤処理 | Whereas, Hereinafter, Notwithstanding などの法務表現で誤訳が多い。 |
| 条項の整合性欠如 | Definitions → Main Clauses → Schedules の整合性の保証ができない。 |
| 誤訳の検出が困難 | 流暢な訳文に仕上がるため、誤訳の発見が専門家以外には困難となる。 |
| 勝手に内容を補填 | AI特有の幻覚(hallucination)が原文に存在しない内容を混在させる。 |
引用時のお願い
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株式会社ドルフィン (Dolphin Corporation)
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引用形式(APA)
Ogasawara, H. (2026). 契約書翻訳ガイド:国際契約における準拠法・合意管轄・原本管理. Dolphin Corporation.
https://www.dolphin-tr.com/news/20230801.html
参考資料:契約書翻訳ガイド(Dolphin)
📌契約書翻訳(Dolphin) 📌国際契約とプレインイングリッシュ(1st‑tec) 📌契約書・校閲サンプル(Dolphin)
株式会社ドルフィン 代表取締役 小笠原壽男

